フィンランドの英語教育~日本の英語教育とはまったく違う!~

欧米の教育先進国での研修を目的に、私学の学校経営者を引率し、フィンランドを訪問したことがある。幼稚園から初等・中等・高等教育の現場を視察し、また政府関係者など国に教育方針や行政をつかさどる組織・部署を訪れ、同国の教育に関わる各種レクチャーを受けた。

学校現場も数多く訪問したが、そのうちの一つに公立の中学校があった。校長先生の配慮で、1年生の英語の授業を1時間参観した。年齢としては日本と変わらない12歳から13歳の生徒達の授業である。

フィンランドでは、フィンランド語と英語の2か国語を公用語としているため、全国民は小学校から英語を皆学ぶ。そのためか、中学校1年生が授業で使用する教科書のレベルが違う。日本の教科書の少なくとも4~5年先を行っている。そしてその教科書をもとに、教員は授業を進めるが、フィンランド語は全く使用しない。丸1時間、英語のみで授業を進めていく。生徒が質問に対する応えに困った時も、教員は言葉を変え、ジェスチャーを交え、質問の角度を変え英語で生徒と向き合う。

先般アメリカの大学の教育学部の学部長を引率して、日本の中高一貫校を訪問した。学部長の希望に応え、日本人教員による中学1年生の英語の授業を参観した。いつも思うのだが、フィンランドとの格差に愕然とする。教員は、授業時間の8割から9割の時間を、日本語による説明に費やす。単語の意味や文法の解説に終始し、生徒達とのインターアクションは全くと言ってなかった。

英語教育の在り方には、大きな改革が必要ではないか。